論説・ポンプあいらんど
2017年3月17日 print

結束と努力の成果として

 2年前、それまで地元SSが粛々と納入していた神奈川県警の車両に対して発券店値付けカードが発行され、需要が根こそぎ奪われてしまうという事案が発生した。
 神奈川石商では、これを多くの組合員事業者にとって経営の根幹を揺るがしかねない深刻な事態と受け止め、対応に全力を投入。その結果、県警への納入を官公需として取り戻すとともに、組合発行のカードシステムという画期的方策の導入により、1年かけて危機的状況を乗り切った。
 その間の組合役員の精力的な活動、カードシステム導入という組合の方針に対する個々の組合員の理解と全面的協力、カードシステム導入に至るまでの膨大な事務処理に関する組合事務局の献身的な対応。三位一体となった密度の濃い取り組みが実を結んだ、組合活動の模範的事例と言えるだろう。
 そのようにして結実した成果は、システム導入から1年が経過したいま、新たな果実を生み出そうとしている。神奈川石商・協が先ごろ、横浜市と締結した『医療機関に対する燃料の安定供給に関する協定』がそれだ。
 災害時に、指定された医療機関の自家発電設備および病院関係車両に対して優先給油を行う旨を協定に盛り込む一方、平常時の燃料供給を明記し、横浜市内の医療機関との緊密な関係の構築に成功した。
 さらに、同石商の取り組みはここへきて、全国の石油組合への横展開の動きにもつながり始めている。すでに、複数の組合が同石商からカードシステムに関する詳細な説明を受け、そのうち一部では具体的に導入を決めた組合もあるという。
 組合によって事情が異なるため、必ずしもすべての組合にとって神奈川方式が最適とは言えないかもしれないが、官公需に取り組む多くの組合にとって、1つの方向性を指し示す道標であることは間違いないだろう。
 地元SSの経営に大打撃を与えかねない危機的状況からスタートした神奈川県警問題は、同石商の結束と努力の結果、組合発行のカードシステムという、他に類を見ない貴重な財産を生み出すまでに至った。
 組合活動は時に、危機を乗り越えるだけでなく、新たな財産を生み出す起爆剤にもなり得る。神奈川県警問題は、それを我々に示唆した。今後の組合活動に取り組むうえで、そのことは大きな力となる。