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石油精製・流通研が最終報告書「自助努力」「協業化」の必要性指摘

ガソリン公正競争確保へ適正取引慣行ガイドライン公表

 資源エネルギー庁の石油精製・流通研究会(座長・橘川武郎東京理科大学教授)は24日開いた第7回会合で最終報告書案を審議し、座長一任で取りまとめを行うことで一致した。また、元売と系列SSとの適正取引を促す「ガソリン適正取引慣行ガイドライン」を公表した(次号詳報)。

 全石連の河本博隆副会長は、最終報告書案について4項目を提言。第1にエネルギー供給構造高度化法の第3次告示の考え方として、「重質油分解装置を最大限有効活用するとなると一層白油化が進む。ガソリンを中心に供給過剰となり、業転市場に流れる懸念が出てくる。輸出パリティ(輸出等価)になるよう、競争力の強化、生産性向上を図るべきで、そのために必要な国の積極的な支援もお願いしたい。結果的に販売業界にもプラスになる」と述べた。
 第2に「災害対策の一環で、国の10分の10の補助により、SSに自家発電機を備える予算を確保いただいた。現在中核SSが全国に約1600ヵ所あり、加えて今年度から4年程度かけ自家発電機を備えた『住民拠点SS』を全国に8千ヵ所整備する計画だ」としたうえで、「自家発を実際に動かすのは難しい。せっかく整備していただく自家発をいざという時に稼働できるよう、3月11日(東日本大震災)と9月1日(防災の日)を中心に、最低年2回の稼働訓練を実施し、災害時に備えた体制を強化していく」方針を明らかにした。さらに、石油連盟と協力・連携し、自動車などの満タン運動を展開することも発表した。
 第3に、過疎地や離島などの安定供給体制を維持するため、「灯油配送の流通合理化や協業化などに取り組むとともに、橘川座長からご提案のあったSSの海外展開を含め、未来指向の次世代に向けた新たなSS経営のあり方について勉強会を開催しており、こうした取り組みに対し、公益性が認められると判断されたものは積極的な政策支援をお願いしたい」と要請した。
 第4に『ガソリン適正取引慣行ガイドライン』についても「多くの方々の意見を踏まえて策定いただき、大変感謝している」と述べたうえで、「役所は作りっぱなしということが多い。そうならないよう、元売とSS業界の取引関係の一層の透明化・公平化につながり、ガイドラインの実効性が上がるよう定期的に検証していただきたい。元売や子会社、特に商社などに対するヒアリングを定期的に実施し、しつこく、ねちっこくフォローアップしていただきたい」と訴えた。
 4項目の提言に対しエネ庁は「ご提言の内容に齟齬はなく、ご提言の内容に沿ってしっかり進めていきたい」と回答した。
 最終報告書の中で、石油流通分野では、災害時や過疎地への石油製品の安定供給確保に向けた石油サプライチェーンの維持・強化の必要性を指摘し、個社の自助努力に加え、事業者間の連携や協業化の必要性を提言。ただ一方、「仕切価格の建値化と業転格差の拡大や系列内格差など、系列内の取引関係が弱体化しかねない兆候が見受けられる」とし、エネ庁は「価格モニタリングや元売ヒアリングなどを継続的に実施し、状況把握に努めるとともに、差別対価などの独禁法違反行為の疑いがある事案については、公正取引委員会に緊密な情報提供を行うべき」とした。
 多様化する顧客ニーズへの対応については、「地域適用性に優れるチェーン・オペレーション(効率的に多店舗展開を行う手法)のアプローチが有効」と指摘。「元売と販売店が共同して多様な顧客ニーズをきめ細かく、効率的に対応するためには、流通業界でみられるチェーン・オペレーションを石油業界独自の形に展開することが有効だ」と提言した。すでに全石連がボランタリーチェーンなどチェーン・オペレーションに係る先進事例について勉強会を開催するなど「前向きな取り組みがみられる」とし、「こうした動きを加速させるべき」と訴えた。また、全石連が「次世代の革新的な経営のあり方について勉強会を開くなど、積極的な自助努力がみられることは望ましい」と評価。こうした取り組みを加速させるため、エネ庁には「安定供給の維持に不可欠な公益性の認められる範囲において政策的支援を講じていくべき」とした。
 石油精製分野では、精製元売会社による海外展開、製油所の国際競争力強化の必要性などを提言。石油の国内需要は減少しているものの、アジア新興国では需要が伸びていることから、国内で培ってきた経験やビジネスモデルの強みを生かし、石油の精製・流通・販売に至る石油精製・元売事業の海外展開の必要性を訴えた。一方、製油所の国際競争力強化では「比較的安価な重質油から高付加価値の製品を精製する能力を高めることが重要」としたうえで、「重質油分解装置の能力を一部増強することや、隣接する製油所間の連携を深め、既存の重質油分解装置を最大限に活用すべき」とし、高度化法の第3次告示に活用する方針を示した。