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エネ庁 ガソリン適正取引慣行ガイドライン詳報

一方的仕切り決定、優越的地位の濫用

 資源エネルギー庁は3月24日、石油精製・流通研究会を開き、SS間の公正な競争環境の整備に向け、元売・系列SS間の適正な取引慣行の形成を促す『ガソリン適正取引慣行ガイドライン』を公表した(27日付1面一部既報)。
 今後、少子高齢化の進展や人口減少など社会構造の変化で、石油製品の需要減少が見込まれる中で、災害時や過疎地における石油製品の供給ネットワークを将来にわたって維持していくには、元売と系列SSとがビジネスパートナーとして共存共栄を図っていくことが必要と強調。しかし、各地で散見される採算度外視のガソリンの過当競争を背景に、系列SSから、仕切価格の系列内格差に対する不満の声が相次いでいる」と、仕切価格の建値化や事後調整の問題を指摘し、「系列内の取引関係が弱体化しかねない兆候がみられる」と危機感を訴えた。
 エネ庁では元売・系列SS間の取引や経営支援の実態、これらに対する系列SS側の認識に対するアンケートやヒアリングを実施。公正取引委員会が昨年4月に取りまとめた『ガソリンの取引に関するフォローアップ調査』などに基づいて、元売・系列SS間の取引において問題される取引慣行を整理した。
 そのうえで、取引慣行ガイドラインでは、①元売と系列SSの意見を「主な意見等」として整理②どのような行為が独禁法など関係法令上の問題を生じやすいのかを「関係法令等に関する留意点」として紹介③適正取引を推進するために「望ましい取引慣行」をまとめた④その具体的な対応例として、元売各社が取り組む効果的な事例「ベストプラクティス」を提示した。
 この中で、当初仕切価格の建値化の問題については、ある元売では「原油コストや直近の市況を踏まえ仕切価格を前もって提示しているが、その後の市況動向に応じて、取引関係維持の観点から仕切価格を修正している」としたが、系列SSからは「(仕切価格の建値化により)原価が分からずに店頭価格を付けてガソリンを販売しなければならないのは正しい商慣行ではない」などの意見が出された。
 これらの意見を踏まえ、系列SSに対して優越的な地位にある元売が仕切価格を一方的に決定し、不当に系列SSに不利益となるような取引条件を設定することは優越的地位の濫用として独禁法上の問題になると強調。望ましい取引慣行として、当初の仕切価格を可能な範囲でより市況実態に即したものにするなどの見直しの必要性を指摘した。また、当初の仕切価格が建値化している状況下で、「個別の値引き交渉を元売が一方的に打ち切る場合には、十分な協議がなされたとは言いがたい」と強調した。
 一方、仕切価格の事後調整の問題については、元売側は仕切価格差を合理的なものとするための工夫を行っているとしたが、系列SSからは「値引きが受けられるのは大手特約店だけで、販売店や弱小SSは受けられない」などの声が上がった。
 これに対し、「特定の系列SSを競争上著しく有利または不利にさせるなど、差別的な取り扱いをし、SSの競争に直接かつ重大な影響を及ぼすことは独禁法上の差別対価になる」とした。
 そのうえで事後調整を防ぐ、望ましい取引慣行については、値引きの予見性・公平性を高めるため、各元売において、値引き交渉の方針や手続きなどの社内基準の明確化、系列SSに対する十分な情報開示や説明が行われることが望ましいとした。さらに、仕切価格の建値化を解消し、市況の実態に即したものとすることにより、事後調整幅の縮小が期待されるとした。
 このほか、消費者に誤認を与えるような不適切な価格表示が行われないよう、価格表示の適正化についても、全石連が取りまとめた『適正化ガイドライン』に沿った厳正な対応を求めた。
 エネ庁では、取引慣行の適正化に向けて、四半期ごとに実施している元売ヒアリングなどで、各元売の建値化の実態を把握していくほか、系列SSを対象としたアンケート調査を実施し、定期的にフォローアップを行う。また、信頼性・透明性の高い価格指標が構築されるための環境整備を図っていく。