論説・ポンプあいらんど
2017年3月29日 print

一丸運動が義務付けを回避

 「第2の地下タンク問題」として全国の中小石油販売業者を経営継続の不安に陥れていたVOC問題が回避された。PM2・5の原因物質といわれる揮発性有機化合物いわゆるVOCについて、環境省はSSでの給油時に燃料蒸発ガスを回収する装置を義務付ける案を検討していたが、先週3月22日に行われた専門委員会で「法的規制によらない業界の自主的取り組み」によって対処するよう提言することになった。2年前から全石連・油政連を先頭に全国の石油組合と油政連県連を挙げてあらゆる場で経営存続の危機を訴え、義務付け回避を求めてきたが、その必死の反対運動が実を結んだ。
 議論が行われていたのは環境省の中央環境審議会・自動車排出ガス専門委員会である。大学教授や専門家によって、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方が検討されていたもので、給油時のVOC低減対策として自動車側に取り付けるORVR方式と、燃料蒸発ガスの回収装置を備えた計量機に取り換える方式の2つが議論されてきた。
 自動車側に取り付ける場合は1台あたり1万円前後で済むのに対し、SS側で対処する場合1ヵ所あたり1千万円前後もの設備投資が必要となる。全石連はSS側への義務付けが行われれば中小石油販売業者はこの膨大なコスト負担に耐えられず、あの消防法改正で老朽地下タンクに漏洩防止対策が義務付けられた時と同じように、SS経営を断念する組合員が続出するのは確実として強く反対してきた。
 2年前の2015年3月に当時の望月義夫環境大臣に直接陳情し、昨年8月には就任したばかりの山本公一環境大臣に訴えた。また、この間に開催された全ての石油流通問題議員連盟(野田毅会長)の会合でもこの問題を最重要課題と位置づけて、オブザーバー出席した環境省の担当局長に「これ以上、SSを廃業に追い込むような規制は行うべきではない」と迫った。
 この業界を挙げた反対運動は日に日に激しさを増した。昨年11月の総決起大会をはじめ各都道府県役員による地元選出議員への陳情活動など、あらゆる場面で石油販売業界の危機回避を訴えた。資源エネルギー庁の応援も得て最終的に法による義務付けが回避され、自主的取り組みを行うことになった。全国一丸の運動が業界危機をかわした。