論説

組合員・SSの存続に向けて

 今年7月24日から、56年ぶりに夏季オリンピック・パラリンピック東京大会が相次いで開催される。日本における五輪の足跡は、80年前の1940年に遡る。同年、夏季・東京大会、冬季・札幌大会が計画されていたが、戦争の影響で返上し、幻となった。24年間を経て、日本で初めて五輪が開かれたのが1964年。当時のガソリンスタンド数は1万9959ヵ所だったというデータが、その2年後に月刊から日刊となった機関紙『ぜんせき』の66年1月3日付に掲載されている。
 当時、石油内需の伸びが年率18~20%だったのに対し、GS数は25~30%増。個々の販売業者視点でみれば「石油産業の発展が逆に経営的にはマイナス要因とも言い得る」と伝え、「石油内需は5年ごとに倍増するとも言われる中、安定供給を続けるためには、石油産業が直面している幾多の難問を解決していかなければならず、日本経済の安定成長への重要な鍵」と捉えていた。そのような背景を踏まえ、同年のぜんせき10大ニュースでは「官公需法の施行」「SS建設の距離規制」「石油増税反対」などを挙げていたが、今日に至っても同様の課題が残っている反面、SS過疎地の増加など、より深刻な状況にも直面している。
 また、昨今は“災害対応”面からも石油・SSの社会的存在意義が重要度を増すばかりだ。世界が低炭素社会への指向を強め、構造的な石油内需減も重なる中、30年に3割減、40年は半減、50年には7割減などと想定して事業構造改革を急ぐ元売。他方でモビリティの多様化や自動運転の進化は、自動車関連ビジネスを経営の軸足とするSSの次世代化を問う。それでも、安定供給を担い続ける自負と覚悟は揺るがない。
 翻って『ぜんせき』は「できる限り低廉に組合員に配布する」という趣旨も踏まえ、発刊1年後から隔日刊に変更し、現在に至っている。2011年度からは『ぜんせきweb』の本格運用を開始し、価格動向をはじめ多種多様な情報の速報性、充実度、検索などの諸機能にPCやスマホ等で「いつでも、どこでも」アクセスできる体制を整え、先月には公式ツイッターも開設した。紙とデジタル両媒体の特長を最大限活かしながら組合員・読者の事業継続に資するよう、今年も発行と更新に努めていくので、一層のご利用、ご協力をお願いしたい。