論説

需給均衡への温度差を問う

 年末2週間で3円の仕切り値上げ。「これからが年末商戦の本番、書き入れ時」と期待感のあったSSにとって、「あまりにも大幅な仕切り値上げ」との印象は拭えないが、聞こえてくる声は「仕方がない」「価格に転嫁せざるを得ない」というものが多かった。ひと昔前なら「この時期の値上げは我慢しろ」「せめて年明けからにしてほしい」と元売を責める声も聞かれたはずだが、いまや仕切り改定は需要動向とはかけ離れたところで動くことを、経営者の大勢が納得しているようだ。
 一方で、PBSSの動向はどうだったか。安いながらも仕切り値上げに連動し価格を上方修正するSSが多かったのは確かだ。関東地域にネットワークを有する広域PB業者は、ほぼ系列仕切りに準じ値上げした。関西の新興PB業者も年末に向け3円程度の値上げを各SSで行っている。だが、すべてのPBSSではない。例えば異業種PBSSは値上げしたものの、値上げ幅は1円、ガソリン価格は130円に。その上げ幅、売価はいまの業転事情から言えば到底納得できるものではない。
 「業転はほぼなくなくなった」「極端に安いスポットなどあり得ない」と言われる現在、どこから仕入れれば130円でガソリンを売ることができ、利益を得られるのか。商戦期と大幅仕切り値上げが重なったこの時期、その理不尽さは頂点に達した。理不尽さを内在し商売を続ける周辺SSにとって、この年末年始がどれほど辛いものだったか。130円でガソリン価格を設定するSSが商売を続けられる理由はなぜか。まず「安い業転玉があるから」ということになるが、大手商社さえ自系列販売店に製品供給をするのがやっとと言われるほど需給均衡が進む現在、極端な安値販売の理由を「業転玉」に求めるのは的を得ているとは言えない。実際には従来の業転とは異なるルートで流通する、より直接的な玉が存在するとの見方があり、「需給均衡を実現しようとする元売とそれをよしとしない元売がいるから」ともささやかれている。
 元売は5社、4グループになった。ここまで集約化されると、どの元売が需給均衡の努力を続け、どの元売がその真逆な行為をしているのかはすぐに察しがつく。商社は「安売りをするSSの価格を見ればどの元売の玉を使っているのかわかる」と断言する。PBSSの廉売には、業転業者の介在よりも特定元売の直接的関与が疑われている。