喜多村九州支部長年頭所感
2020年がスタートした。年頭にあたって全石連九州支部の喜多村利秀支部長は、需要減が続く中で再投資可能なSS経営を実現するために、従来のような「リッターあたり〇円の利益」という意識を変革し、「粗利益率」を重視しようと強調した。また災害時協定と一体になった官公需の拡大と随意契約の推進について言及した。
―SSを取り巻く経営環境について。
元売の経営統合が進む中で九州のガソリン市場は比較的安定してきたが、少子・高齢化や低燃費車の増加、若者のクルマ離れなどによって減販が続いている。廉売業者が点在し、厳しい経営を強いられているSSも多い。
人手不足は深刻化する一方で、働き方改革も急がなくてはならない。次世代に生き残るためにも組合として全力で取り組む。
―SSの経営改善が課題ですが。
働き方改革のためには職場環境の改善が必要で、そのためにもしっかりと再投資可能な利益を確保したい。これまでは『リッターあたり○円の利益』という言い方をしていたが、これからはほかの小売業と同じように『粗利益○%』という言い方をすべきだ。
それぞれのSSが目指すべき『粗利益率』を頭に描けなければ、生き残ることはできない。
―昨年は自然災害が多発しました。
8月の佐賀県を中心にした九州北部豪雨、9月の台風15号、10月の台風19号に伴う大きな災害時に国や自治体の要請に基づいて河川事務所のポンプ場や緊急車両の給油などへの燃料供給に力を尽くし、“最後の砦”としての役割を果たした。
一方で、県や国などの中には平時は他県業者などから安値で燃料を調達しながら災害時だけ「災害協定」を盾に地元SSに供給を要請するケースがある。日ごろから取引がないければ重要施設のタンク設置場所、油種やタンク口径などの情報が少ないために迅速に対応できない。
―随意契約の重要性について。
石油組合としては平時からの燃料調達を随意契約にしてもらいたいと要請しているが、「経済合理性」を理由に実現しないケースが多い。
災害時に重要施設への緊急配送に迅速に対応するためにも、実効性が確保された災害協定に見直す取り組みを強化したい。
―SSの課題は。
それぞれのSSには「特色のある経営」が求められていると思う。「近くのSSに定期的に給油に立ち寄る」(最寄り性、来店頻度)というSSの特徴はほかの業種にない有利なものであり、すばらしい利点だと思う。この利点をどう経営に活かすかを懸命に考え、地道に取り組むことが重要だと思う。