論説

満タン運動は新たな次元へ

 『満タン&灯油プラス1缶運動』は3年目を迎え、成熟の度合いを増している。昨年9月から全国一斉にスタートしたが、前後して多発した大型台風への備えの1つに、「車を満タンにすること」を様々なメディアが呼びかけたこともあり、国民に強く意識されることになった。だれもができる災害対応から、だれもがしなければいけない災害対応に認知度が昇格したのが今年度だろう。
 折り返し地点を過ぎた今年度の『満タン運動』を振り返ると、国民へ意義を浸透させるため、まず、PRツールとしてノボリ、ポスター、バッジなど従来からのアイテムを継続、全国の石油組合を通じSSに配布した。さらに昨年度も実施したAM・FMラジオでのCMを運動スタートと同時に1ヵ月間にわたり連日放送した。CMは全国FM局に制作を募り、FM栃木の「もしも…」がFM局大賞を受賞。反響は大きく、組合員SSで日ごろからBGMとして流したいとの要請を石油組合から受けるほどだった。満タン&灯油プラス1缶運動推進委員会の浜田忠博委員長、村上芳弘副委員長はラジオ番組の出演依頼を受け、宇佐美三郎副委員長のSSは取材もされた。
 ツイッターを利用し幅広く『満タン運動』の周知を行ったほか、全国各地の石油組合は自治体へ意義を訴え、協力を求め、イベントに際しては専用パネル、満タン運動ベストも活用されている。今月17日、阪神・淡路大震災から25年を経た神戸市では、兵庫石商(内芝知憲理事長)の組合員がベストを着て15㌔㍍ものメモリアルウォークに参加し、運動の意義をアピールしたのは記憶に新しい。効果測定を目的に全国1500SSの協力を得て、運動への認知度や支持度を消費者から調査したが、間もなく結果も公表される。
 ただ、昨年度の効果測定調査結果から言えることは、こうした様々な取り組みと同時に必須なのが、SS店頭でのスタッフからの声掛けだ。実際に消費者と接するSSでスタッフが日常の話題として『満タン運動』の意義を周知することが極めて効果的との結果も出ている。『満タン運動』が目指すのは、国民運動としてだれもが当たり前のようにSSで満タンにする姿。それが業界のためでなく、自身の安全安心のためであることが深く認知されること。SS店頭で「満タンにしませんか」と声掛けすることがなくなる日が来ることを願ってやまない。