全国 市場 その他

エネ研 短期需要見通し ガソリン内需 19年度5千万㌔㍑割れ

ナフサ、中間留分は堅調に推移

 日本エネルギー経済研究所が先ごろ発表した石油製品の短期需要見通しによると、2019年度の内需は、前年度暖冬からの反動に加え、石油火力の利用低下や低燃費車普及による燃費改善、電力用C重油のさらなる減販など、多くの減少要因が重なり、前年度に比べ1.1%減の1億6580万㌔㍑に落ち込むと予測した。20年度は石化プラントの定期修理が多く、減少幅が拡大、ガソリンや電力用C重油の販売不振も響いて、2.5%減の1億6170万㌔㍑と、8年連続で前年実績割れの厳しい需要環境を見通す。1999年度のピーク時(2億4600万㌔㍑)からじつに3分の1の需要が消失することとなる。

 油種別にみると、ガソリンは、19年度がHVや軽・小型自動車などの低燃費車の増加などによって減少傾向が続き、2.3%減の4950万㌔㍑と、93年度(4820万㌔㍑)以来、26年ぶりに5千万㌔㍑割れの需要に落ち込むこととなる。20年度も低燃費車の普及による自動車の燃費改善などを見込み、2.6%減の4820万㌔㍑に減少。これまで大幅な需要減が続いていたC重油の減少量がやや緩むことで、ガソリンの減少量が8年ぶりに全油種間で最大となる。04年度のピーク時(6100万㌔㍑)からは2割以上減少することとなる。
 灯油は、19年度が前年度の暖冬からの暖房需要の反動増によって、4.1%減の1510万㌔㍑に増加する。20年度も引き続き暖房需要の増加を見込むものの、都市ガスや電力への燃料転換などによって、0.5%減の1500万㌔㍑に落ち込むとした。
 軽油は、需要を押し下げる要因として、貨物車の燃費改善や輸送効率化が進んでいるものの、近年のネット通販・個人間取引の拡大による貨物輸送の増加やディーゼル車保有台数などの増加要因が上回り、19年度が0.3%増の3390万㌔㍑、20年度も0.2%増の3400万㌔㍑と、2年連続で堅調に推移すると予測した。
 A重油は、産業・民生部門での都市ガスへの燃料転換などで減少を見込み、19年度が4.9%減の1050万㌔㍑、20年度も燃料転換の継続などによって、4.5%減の1010万㌔㍑に減少するとした。
 今月から国際海事機関(IMO)による船舶用燃料のSOx規制が強化されたが、高硫黄C重油から低硫黄C重油(IMO適合油)への移行が円滑に進むものと見込み、A重油、軽油への代替需要はほとんど発生しないと予測した。
 原油処理量は、燃料油販売量の減少に伴い、19年度が0.2%減の1億7630万㌔㍑、20年度が1.9%減の1億7300万㌔㍑に減少。20年度は87年度以来となる日量300万割れとなり、足元の常圧蒸留装置(トッパー)能力は352万を大きく下回ることとなる。