元売 インタビュー

出光・森下健一上席執行役員販売本部長インタビュー

石油販売は「国内の基盤」

 出光興産の森下健一上席執行役員販売本部長(写真)は2020年の取り組みについて、昨年11月に発表した中期経営計画の柱に掲げる「国内の基盤作り」として、収益の基盤事業である石油販売を「しっかり推し進めていくこと、そのうえでこのビジネスを次の世代につないでいくことが重要である」と強調する。また、石油サプライチェーンの現場を日夜支えている販売店・特約店に改めて感謝の言葉を述べた。

 ――販売施策について。
 まずは国内の需給環境をしっかりと注視し、販売店・特約店が再投資可能な利益を確保できる環境作りに注力したい。
 2つ目は施策の統合を通してお客様のニーズに応えていく。今年は出光と昭和シェルの良いところを統合したリテールプログラムが提供できると思う。POSの統合・クレジットカードの相互乗り入れも早期に実現できるよう準備を進めている。


 3つ目は既存のSSネットワークを減らさないために、新しい収益基盤を作ること。ガソリン需要が減少していく中、地域のニーズに応えられる新しいサービス作りが必要になる。そのために昨年、販売部の中にビジネスデザインセンターを作った。飛騨高山(岐阜県飛騨市・高山市)で実証実験を行っている超小型EVのカーシェアリングもその一例である。目的地へ公共交通だけではたどり着けないラストワンマイルとしてのモビリティというニーズに応えることができる。


 ――後継者問題・人手不足について。
 商売の先行きが見えないと後継者問題は解決しない。サポートプログラムを用意するなど事業を引き継げる環境作りが必要と考える。また、SS、タンクローリーの乗務員、タンカーの船員などすべてが人手不足。配送・輸送面はAIやIoTの進化によって効率化され、ある程度解消できる分野もあると考える。SSの人手不足は、当社の人材募集サイト「出光ジョブネット」の実績が上がってきているので、さらに活用を促進していきたい。


 ――統合シナジーについて。
 今年度見込んでいた300億円の統合シナジーは想定通り実現できそうな状況。次はサービス・販売面および物流効率化等でシナジー効果を上げていく。出光の車検・メンテナンスのWEB予約サービス「PIT in plus」とシェルの接客支援デジタルツール「Shell CONNECT」は融合することで、さらに効果的なサービスを提供できるようになる。「EasyPay」も来年度中には出光でも展開していく。人材育成・表彰制度も融合する予定だ。


 ――販売店・特約店へ新年のメッセージを。
 SS店頭で燃料供給の現場を支えている皆様に感謝している。これからも販売店・特約店の皆様に寄り添った施策・サービスを提供していきたい。