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【新春メッセージ】頻発する災害に備えて住民拠点SSの拡大へ

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 全石連会長に就任して3年半、一貫してSS業者の7割を占める小規模事業者の視点で組織活動を推進して参りました。皆様からもご賛同いただき、目標に向かって着実に進んでおりますこと、改めて御礼申し上げます。
 昨年は4月に出光昭和シェルが統合し元売再編が最終段階を迎え、需給適正化が進展していることは非常に歓迎すべきことです。元売にはこの統合効果をさらに発揮させるため、需給バランスを崩すことなく、販売量に見合った生産の継続など市場環境にとって良い影響をもたらすことを期待します。
 政府は今後5年間のガソリン需要が年平均2.2%減少すると見通しています。今後、人口減少や低燃費車の増加など燃料油需要の減少は避けられません。マーケット規模が漸減する中、以前のように販売量のみを追うビジネスでは将来が望めません。働き方改革や最低賃金引き上げ、キャッシュレス進展に伴うカード手数料負担増などのコストアップ要因も山積しています。私たちは粗利額の多寡ばかりを意識するのではなく、粗利率を念頭に置いたビジネスへと意識変革していくことが求められます。
 外資系大手流通業などによる廉売など地域市況を脅かす事象もありますが、私たちは自らの商売に誇りを持ち毅然とした姿勢を持ち続けることが大切です。不当廉売の疑いがある事案を公正取引委員会に申告し、石油流通問題議員連盟のアドバイスを受けながらも自らの手で公正な競争環境を勝ち取ることがなにより重要です。

公正な競争環境を勝ち取る

 昨年は九州北部豪雨や関東、東北での台風15号、19号などの風水害によって多くのSSが被害を受けました。被災された組合員の1日も早い復旧をお祈りいたします。これらの災害で中核SSは緊急車両への優先給油、小口燃料配送拠点は電源車への燃料配送など災害復旧に大きく貢献しました。住民拠点SSは自家発電機を稼働して地域住民等への供給に尽力していただきました。このご努力に改めて感謝申し上げます。
 会長就任以来、自家発電機を備えた住民拠点SSの整備を要望し、今年度中には全国7千ヵ所に達する見込みです。頻発する災害に備え、住民拠点SSをさらに拡大すべきとの声も上がっており、“最後の砦”となるSSへの期待はさらに高まっています。これに応えるためには、平時から発電訓練は欠かせません。また、『満タン&灯油プラス1缶運動』を展開し、災害に備えた自衛的備蓄の重要さを訴えていくことも併せて必要です。
 SS数は3万ヵ所に半減しましたが、平時のみならず災害時の燃料供給拠点たるSSネットワークはこれからも維持、強化しなければなりません。それにはSSが地域住民の利便性を追求し、地域ニーズに即した「地域コミュニティインフラ」としての機能を充実させることが必要です。

自衛的備蓄の重要性を訴え

 消防庁で検討している保安規制見直しの中で、SS多角化に資する敷地の利用制限緩和が4月にも法制化される予定です。これが新たなビジネスモデル発掘の足がかりとなり、地域拠点の確立に寄与することを期待しています。また、全体の3分の2を占めるフルSSに焦点を当てた施策も必要です。この点は元売の戦略ともかかわりますので、精販がともに今後のSSのあり方を話し合うことも必要と考えます。
 昨年からの働き方改革で企業は職場環境の改善が求められ、中小SSは今年4月から残業時間の上限規制に適応していかなければなりません。「魅力ある職場づくり」は人手不足解消の第一歩であり、SS業界は、生産性向上に加え従業員が安心して働ける職場づくりに注力すべきです。適正マージン確保を念頭に置いたビジネスに徹し、人材確保も含めた再投資可能な業界にしていくために皆様とともに邁進して参りますのでご理解、ご協力をお願いいたします。
 
2020年 元旦
全国石油商業組合連合会
全国石油業共済協同組合連合会
  会 長  森  洋