【2020 新年特集】 全国企画(愛知) 我が社・SSの金メダル
東京オリンピック・パラリンピックイヤーとなる2020年の全国企画を飾るのは、『我が社・SSの金メダル』。①水産王国稚内を支えてきた販売業者②地域貢献でソフトバレーボール大会を後援する販売業者③金メダル級のお米を販売する販売業者④コーティングの全国大会に山梨チャンピオンとして出場したSSマン⑤24年のパリ五輪を目指す中学1年生を支援する販売業者⑥全国制覇を果たした軟式野球部を持つ販売業者⑦洗車の技術と顧客管理で圧倒的な実績を上げるSSウーマン⑧シェルのリテーラー部門世界一となった販売業者⑨旧銀行の建物を維持・管理し、町おこしを支える販売業者―という、9つの地域にさん然と輝く金メダル級の取り組みを紹介する。
大森石油・軟式野球部・全国制覇4回
“勝つ喜び”が良い人材育てる
天皇賜杯や国体優勝など全国制覇4回―。輝かしい戦歴を誇る軟式野球の名門・大森石油(愛知県一宮市、大森輝英社長・JXTG系)。創業142年を迎える老舗石油販売会社の野球部が強豪チームに成長した背景には「野球を通じて人材を育て、全社員が一体感を持つ」という大きな目標があったから。会社の全面支援と地域に広がる勝利への期待。その期待を一身に受け、チームは〝強い精神と高い技能で結果を残す〟を合言葉に、SSと球場とを往復しながら懸命に汗を流す。2020年、オリンピックイヤーに目指すのはナインの胸を飾る全国優勝5度目の金メダルだ。
1877年に菜種搾油販売で油を手掛け、1928年には県西部で初のガソリンスタンドを開設。戦後間もない51年には、名古屋市内に本格的大型SSをオープンさせるなど社業を伸ばしてきた。野球部は、プロ野球全盛期の64年に「社員も地域もだれもが興味を持つ活動を」と創設された。
とりわけ力を注いだのがのちに4代目社長として愛知石商・協理事長、全石連副会長などを歴任した大森一人氏(故人)。創部当時、課長職だった大森氏。3代目社長が「音楽部」を創り市民に吹奏楽の魅力を伝えた企業文化を引き継ぐとともに、自らは監督として野球部強化に力を注いだ。野球経験のある若手社員を集め、練習や試合遠征などすべて勤務・出張扱いで野球に没頭させた。選手が野球の時間は周りの社員がその穴を埋めるなど全社挙げて環境を整えた。
その結果、チームは徐々に強くなった。そして大森氏が社長だった94年、大手企業の強豪チームなどを次々と撃破、創部30年でついに国体で優勝、全国の頂点に立った。96年と2003年には「全日本軟式野球大会」で悲願だった『天皇賜杯』を獲得。同杯2度目の年には国体でも優勝し、大森石油の名を不動のものとした。
年々勝利のハードルは高くなるばかりだが、「勝負にこだわり、勝つ喜び、結果を出してこそいい人材が育つ」を信条に、5代目・輝英社長の指揮のもと、堀田真監督以下20人の選手は地域や社員の暖かい声援を受けながら、今年も頂点の天皇賜杯を目指す。