全国 元売

元売トップ年頭所感

 ■JXTGHD・杉森務社長 長期ビジョンでは「アジアを代表するエネルギー・素材企業」「事業構造の変革による価値創造」「低炭素・循環型社会への貢献」をありたい姿に掲げている。その実現に向け「基盤事業」のさらなる強化が不可欠で、石油精製販売では構造改革の断行による収益力確保が主要テーマ。6月にはJXTGホールディングスとエネルギーを実質的に統合する運営体制に変更し、商号を「ENEOS」、グループ名称を「ENEOSグループ」とする。これからは統合会社でなく、新たな創業会社として、成長事業の育成や新規事業の創出を推進し、より大きなブランドに育てる。
 ■JXTGエネ・大田勝幸社長 第1次中計で取り組んできた統合シナジーは目標の1千億円を上回る見通しで、石油精製販売事業の競争力強化に大きく貢献している。また、長期ビジョンでは2040年に燃料油内需が半減すると予想、シェアリングエコノミーの進展に見られる消費者志向の変化など事業環境の劇変に対し、エネルギーサービスプラットフォームやSSネットワークの生活プラットフォーム化といった新たなサービスの提供を掲げた。長期ビジョン実現の第一歩となるのが来年度から始まる第2次中計。「成長事業への選択投資と革新的な価値創造」「基盤事業の安全・安定操業と徹底効率化による競争力強化」などの基本方針に沿って策定中だ。
 ■出光興産・木藤俊一社長 統合新社として初の中期経営計画がスタートする。統合2年目となる本年は、助走期間も終わり、真の意味での統合を成し遂げなければならない。まず、あらゆる角度から業務を分析し、目標達成に向けて最善を尽くしていく。次に成長事業の加速や次世代事業の創出、デジタル変革の推進を具体的に進める。グループ全体で取り組み、全部署が直接的、間接的にかかわっていく。すべての事業、すべての部室、すべての従業員が主役であり脇役はないと思っている。経営層と社員の直接対話を充実させる。今年度内に本社機能を新しい本社ビルに集約し、システムを含めた業務プロセスの統一と刷新も図っていく。
 ■コスモエネHD・桐山浩社長 これまで培ってきたコスモというブランドに磨きをかけ、育てていくことは、大きな武器になる。ブランド価値を向上させることで、石油事業のみならず再生可能エネルギー事業や新規事業にも良い影響力を及ぼし、長期的に企業価値を向上させていきたい。今月よりいよいよキグナス石油向けの燃料油の供給が本格的に始まる。そしてIMO規制も本格化してくる。供給面でも販売面でも大きな変革が訪れる。当社グループにとっては、うまく対応できるかどうかが勝負のポイント。収益にこだわり残り3ヵ月をやっていきたい。第三極としての独自性と存在感を示し、コスモブランドに恥じぬような企業としてのあり方を目指す。
 ■太陽石油・岡豊社長 ガソリン内需減少に備えたさらなる石化シフトの準備、保安力向上ビジョンのさらなる推進、デジタル化の推進、定修の最適化などの中期課題にも確実に対処する。販売面では、西地区での積極的な系列化による安定販売網の構築を推進し、西シフトを深化させていく。安定したマージンが継続している国内石油販売の強化をさらに進めるとともに、海外の需要獲得に向けた取り組みも強化していく。当社が調達する原油、これまでの「最大稼働ありき」の考えに囚われず、収益最大化に資する装置稼働を追求していくことが重要。そのためにこれまで以上に「精販連携」を追求し、収益の底上げを図っていくことが必要と思う。
 ■キグナス石油・若澤雅博社長 今年は1月から燃料油供給元を全面的にコスモ石油に切り替える、創業以来の大事業がスタートした。4月からは中期経営計画の最終年度を迎え、ある意味、集大成、区切りの年、今年1年スタートダッシュの糧にしたいと思う。
 改めて言っておきたいことは、「お客様に対して、どのようにお役に立てるのか、なにをしなければならないかであり、その解決策を提供すること」。そこにビジネスを継続、拡大するヒントが眠っている。
 石油製品の国内需要減少に伴い、お客様に一番近いところにいる皆さんの話をよく聞くために、私自身が多くの機会を作っていきたいと思っている。