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松浦エネ庁石油流通課長講演要旨㊤

コミュニティインフラとして

 資源エネルギー庁石油流通課の松浦哲哉課長は、先ごろ開かれた全石連中部支部と全国石油政治連盟中部支部の合同役員会に出席。「石油流通業をめぐる最近の取り組みについて」をテーマに講演、住民拠点SSの早期普及や、今後災害対応のあり方について言及した。松浦課長の講演要旨は次の通り。
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 千葉県を中心に大きな被害をもたらした台風15号では、機能不全となったSSに災害時専用の臨時計量機を兵庫県から配備、タンクローリーからの臨時設備を使って給油を待つ数珠つなぎの車に燃料を供給していただいた。停電で機能不全となった県内の約20ヵ所のSSに可搬式計量機を緊急配備して、車のバッテリーなどを電源に地下タンクから燃料を汲み上げ地域住民の方々への供給に尽力していただいた。こうした災害対応を中心に、昨年12月末に閣議決定された石油流通関連の2019年度補正予算案と20年度当初予算案は276・7億円となっており、①住民拠点SSなど災害対応能力強化②離島・SS過疎地対策、次世代燃料供給体制構築③石油製品の品質確保―という3つの大きな柱で構成されている。
 高齢者への灯油配送や、ガソリン給油に支障をきたすSS過疎地は、全国1718市町村のうち325市町村がその対象となっている。過疎地等で営業しているSSのうち72%が事業継続の意思を持っておられるが、他者に事業承継・譲渡や未定が18%、廃業を考えておられる方が10%に上り、こうした地域での燃料供給体制の確保が早急に求められている。
 設備投資については過疎地、その他地域とも人手不足に対応した省力化、地域に合った適正サイズ、コストを抑えたシンプルなものを重視しているSSが多い。さらに「SS過疎地」なのにそれを認識していない自治体が約4割、SS廃止・閉鎖の対策や検討をなにもしていない自治体が約9割にも達していることなどが実態調査で明らかとなった。
 過疎地域がSSに期待することとして、災害時対応はもとより、配送・集配・1人暮らしの高齢者訪問などがあり、石油販売業者の方々にはコミュニティインフラとしての役割を検討していただきたい。エネ庁としてもローリー直結の移動式計量機を使って燃料供給を過疎地で行ったり、給油許可をAⅠ画像認証で対応する新システムなど実証実験に取り組んでいるところだ。