三重 PB進出で伊勢周辺混乱
中東情勢の緊張からレギュラーガソリンが全国平均で150円を超える上昇が続いているが、三重県伊勢市などの主要県道沿いでは「131円」の看板を掲げるSSが相次いでいる。一般の系列SSが仕切価格に連動して転嫁する中、県内平均より約20円も低い激安攻勢に同業者は苛立ちを強めている。
激安看板が並ぶのは県道37号鳥羽~松阪線に面した伊勢市と多気郡明和町のいずれもPB3店で、今月中旬現在、わずか約5キロの区間でそれぞれ131円を電光掲示板などでアピールしている。同県では県内人口が集中する伊勢湾側の桑名から四日市、鈴鹿、津、松阪、伊勢の各市にかけて、もともとセルフを中心に激しい価格競争が繰り広げられてきた。
しかし、石油情報センターの調査でレギュラーガソリンが全国平均150・1円、三重県平均150・2円(1月14日現在・同16日発表)の中で、これほど極端な廉売攻勢を複数のSSが展開するのは異例だ。
発端は昨年11月にPBクイックピットが明和店を新規オープン、120円台の県内最安価格で営業したことからPBベストバリュー伊勢小俣店とPBベストパートナー川端店が対抗。12月になって3店とも131円まで引き上げたが、年末年始を通じて131円のままだ。クイックピットは鈴鹿市の白子店でも131円看板を表示している。ちなみにこれらの店の大半が軽油114~5円(全国平均131円)、灯油79~80円(同94・3円)と各油種とも超安値で販売している。
激安3店の近隣ではレギュラーガソリン143~8円、場所によっては159円のSSもあるが、激安店に比べて給油客はまばら。
伊勢市内の系列SSは「131円でどうして販売できるのか不思議。この時期に力を入れている灯油も18㍑缶で約200円も安い。これでは太刀打ちできない」と怒りをぶつける。また、県内業者は「EV対策などSS業界が大変な状況に直面して適正利益確保が求められているのに、激安商法で競い合うのは極めて残念」と厳しい表情を崩さない。