中国・四国 連載

【石油の力 SSの力】第360回  高知県  燃料確保計画

備蓄としての「満タン」災害時に力

 高知県は南海トラフ地震発災時の燃料確保対策として「燃料確保計画」を策定し、車両への備蓄は最優先対策としてだれでも簡単に、すぐでき、即効性のある有効的な対策であるとして、燃料残量が半分となる前にこまめな満タン給油を心掛けるよう呼びかけている。

SS業界ではすでにノボリなどを掲示して『満タン運動』を推進している
SS業界ではすでにノボリなどを掲示して『満タン運動』を推進している

 高知石商・協(武井勝一理事長)の理事会で「燃料確保計画」の概要を説明した泉安展同県防災課主査は「当県ではこれまでも東日本大震災の教訓から応急救助機関の車両などの燃料確保や災害対応型給油所の整備などの燃料確保対策を実施してきた。その後の基礎調査で、国の具体計画では発災4日目以降、優先供給施設へ供給が開始されることになっており、発災後3日間の応急活動で必要となる各種燃料の市町村別需給状況の調査結果では不足量はガソリンが854㌔㍑と試算されている」との調査結果を報告した。そして「この課題の解消のため、こまめな満タン給油を行えば4611㌔㍑が確保され、約3700㌔㍑の余裕を生み出すことができる」として、災害時における燃料備蓄の観点からも平時からの満タン給油を薦めている。
 また県では燃料確保対策を備蓄、供給、輸送の3点に分け、燃料確保計画に定めた37項目を行動計画に位置付け、計画的に取り組む。啓発、孤立対策、医療救護対策は横断的・総合的に取り組み、民間や市町村、応急救助機関と連携し、一体感を持って官民協働による県民運動として推進していく構えだ。
 さらに災害時には一般車両によるガソリンなどの給油が集中、SSの混乱と燃料不足が見込まれ、応急活動車両への供給に支障をきたすことが懸念されている。このため備蓄の中でも車両への燃料備蓄は最優先課題と位置付けており、日ごろから満タンにしておけばいざという時に困らないうえ、簡単で即効性があることから取り組みの強化を図っていく。県民や防災関係機関も災害に備えてのこまめな満タン給油に対してはまだまだ意識が低いと思われることから周知活動に力を入れる方針で、「燃料が半分になる前に満タンに」「緊急車両への優先給油へのご理解を」といったチラシ・ポスター・ノボリ・新聞広告によるPRも計画している。
 SS業界が取り組んでいる『満タン&灯油プラス1缶運動』とも趣旨や目的は同じであることから、今後は連携を深め、協力して取り組むことで、防災に向けての大きな相乗効果も期待されている。