石油協会経営実態調査『販売業者の声』㊥ 廉売に困窮、存続“危機”
◆業転格差
異業種、広域ディーラー、大手量販店の仕入価格を無視したような販売価格がいまだに見受けられるが、もともと油の出所は元売各社ではないのか。元売は流通経路の透明化を実施し、特に商社玉の管理を強化してほしい。不当廉売に関しても、中小業者を守れる制度になっているとは思えない。国など公共機関は災害があった時には助けろと上から目線で連絡してくるが、入札でたたかれ、安値の大手企業に落札させるなどマイナス面しか思い浮かばない。ぜひ経産省のお役人様、全石連、役員様、議員連盟の生先方、下流の声を聞いて政策に生かしてください。(北海道)
元売統合が進んでいるとはいえ、商社系をみるといまだに仕入ルートは多数あり。でも規格製品なので末端での価格差に対する偏見。一部の「儲け過ぎは良くない」という時代錯誤の感覚。ボランティアのような入札価格。大手からの「地元企業は生かさず殺さず付き合う」という意識。(東北)
◆不当廉売・差別対価
近隣の給油所が異常に安い価格で販売している。当社の仕入価格より安い時もあり、非常にやりづらく、また経営に悪影響を被り大変である。(北海道)
私たちの地域には、経費節約のために、フルサービスからセルフSSに変更した販売店がある。フルサービス時代から超安値で販売し続けて28年ぐらいになりますが、仕入価格より10銭でも高く販売すれば、不当廉売に当たらないのだろうか。大手メーカーのサインポールを掲げながら、業転をガンガン入れて販売しているのに、サインポールを外されることもなく営業を続けている。販売数量が多いと許されるのだろうか。公取委やメーカーや石油組合は、なんのためにあるのか。長年の疑問である。そのようなSSは、メーカーからも問屋からも優遇されていることが多いように思う。何十年も同じメーカーで業転も入れずに、地域のために頑張っている小さいSSには、なにも良いことはないのです。以前よりは良くなったとはいえ、いまだに価格競争をしている、超低価格で販売しているSSをなんとかしてほしい。心からの切なる思いです。人口減少がますます加速するし、化石燃料の車も減少していくだろう。燃料販売という仕事も時代の流れに乗らざるを得ないだろう。そのためにも、採算の取れる販売価格をいつも意識してほしいものだと思う。(東北)
JXTGエネルギーと出光昭和シェルで、2大元売になったことで業界内の業転玉および系列内での問題は解消されつつある。しかし、異業種が石油業界に参入しつつ、系列の仕切価格では逆ザヤになる価格で販売を継続しており、独占禁止法の観点からすると、異業種側は不当廉売、供給している側は差別対価が該当するはずだが、いまだに解決されないのはどうしてか。現在、国の政策で災害対策として住民拠点SS拡充がされ、より一層、災害対応時の安定供給が重要視されているが、国、県、市の行政機関においては、一般競争入札で安い業転玉を使用した業者からしか購入しない。石油業界には官公需適格組合があるが、行政機関において平常時からの取引があるところはほとんどないのに、災害時には対応してほしいとの要望がある。これはあまりにも不合理であるため、こうした課題を解決してもらいたい。(関東)
弊社のような小SSは税金を払うためにやっているように思う。元売のセルフSSの近くで、その売値と当社の仕入れが変わらない状態がずっと続いているのが不満。少し良くなったと思っていたが、また、元に戻りつつあるのが現状である。(近畿)
公取は本気で動いていない気がする。消費者保護の観点から注意しにくいのかもしれないが、適正価格で取り組んでいる石油販売業者は経営ができなくなり、廃業…。(中国)
元売販社が安売りに走るのはどうかと思う。スタンド自体が赤字でも倒産することがないが、我々の店は倒産する。(四国)
ガソリンスタンド運営にかかわる規制が多過ぎ、また厳し過ぎて前向きの投資(店舗展開等)が行いにくい。メーカー直営、メーカー系、商社との価格差があり競合する。JAとの競合による価格差があり過ぎる。JAは本来、組合員のための組織ではないか。弊社のような過疎地域で資本の強さを前面に出しシェアを奪っていく営業手法はあまりにも酷過ぎる。その力を生かして地元行政の燃料まで奪っていくJAのあり方について、非常に疑念を持っている(私たちの地域ではSS運営にかかわるほど、JASSが問題になっている)。(九州)