【石油の力 SSの力】第361回 岩手県久慈市 ユースエール認定
若者の採用・育成に積極的で、残業時間削減など雇用管理面でも優良な中小企業を後押しする厚生労働省のユースエール認定制度で、岩手県久慈市でSSなどを経営する細谷地(細谷地茂陽社長、コスモ、丸エネ系)がこのほど認定を受けた。認定企業は求人活動で求職者に安心をアピールできるほか、ハローワークの手厚い支援も受けられる。
ユースエール企業の認定要件は、①有給休暇取得率70%以上②入社3年以内の離職率20%以下③月間平均残業時間20時間以内、最長者60時間以内④育児休業取得が男性で1人以上または女性で取得率75%以上など。加えて人材育成研修制度などアピールポイントを加味して優良企業を認定する。
東北6県の認定企業は昨年末で150社を超えるが、SS経営企業の認定は同社が初めて。SSの場合、求人を出しても応募が少なくて人手不足に陥っているうえ、タイヤ交換や灯油配達など繁忙期の残業時間が跳ね上がり、要件クリアが難しいのが現状とみられる。
SSや灯油、LPガス、電気、携帯販売、飲食、農業など多角経営の細谷地でも、SS部門の要件クリアが特に難しかった。同社は他部門の社員にも危険物取扱者資格を取得させるなど、繁忙期に応援に回れるゼネラリスト養成を加速。全社グループウェアのクラウド化により、灯油の注文・配達状況まで全部門がリアルタイムで把握可能など、ITを活用した業務効率化も進めた。
その結果、有給休暇取得率や残業時間は大幅に改善。平均値では2年前に要件をクリアできる状況だったが、基幹システム更新や災害対応で特定の社員が忙しい期間が長く続いたため要件を満たせず、昨年10月に認定にこぎ着けた。
同社は人材育成面でも「細谷地アカデミー」を設立して社内研修を充実。国の中小企業支援制度も活用し、これまで次世代リーダー研修や若手社員研修、女性活躍推進セミナー、シニア研修などさまざまな研修を企画し、社員の自己啓発を支援してきた。各種研修で社員から出た意見をもとに、より働きやすい会社になるよう就業規則の改正も重ねてきた。
細谷地社長は「人口構成の変化が経済にマイナスに働くオーナス期に入ったと聞いた7年前、ならばオーナス期にも生き残れる会社にしようと経営改革に着手した。その思いが形になった認定を生かし、今後も経営改革を進めていきたい」と話している。