全国 九州・沖縄 特集

【2020 新年特集】 全国企画(大分) 我が社・SSの金メダル

~地域にさん然と輝く取り組みを紹介~

 東京オリンピック・パラリンピックイヤーとなる2020年の全国企画を飾るのは、『我が社・SSの金メダル』。①水産王国稚内を支えてきた販売業者②地域貢献でソフトバレーボール大会を後援する販売業者③金メダル級のお米を販売する販売業者④コーティングの全国大会に山梨チャンピオンとして出場したSSマン⑤24年のパリ五輪を目指す中学1年生を支援する販売業者⑥全国制覇を果たした軟式野球部を持つ販売業者⑦洗車の技術と顧客管理で圧倒的な実績を上げるSSウーマン⑧シェルのリテーラー部門世界一となった販売業者⑨旧銀行の建物を維持・管理し、町おこしを支える販売業者―という、9つの地域にさん然と輝く金メダル級の取り組みを紹介する。

「地域の文化財を大切にしたい」と話す永岡社長。『モダン設計』の銀行店舗には、広いガラス窓から明るい日差しが降り注いでいる
「地域の文化財を大切にしたい」と話す永岡社長。『モダン設計』の銀行店舗には、広いガラス窓から明るい日差しが降り注いでいる

大分石油・文化財を守り町おこし
歴史伝える『お金の展示館』

 大分県豊後高田市は古くから交通の要衝として繁栄した。地元の野村財閥は1933年にこの地に『共同野村銀行』事務所を建設したが、近年は利用されないまま廃墟同然になり、解体されることになった。
 これを聞いた大分石油(本社・大分市、出光昭シ系)の永岡惠一郎相談役と壯三社長は心を痛め、「豊後高田が誇る文化資産を守りたい」と2004年に買収した。永岡家は代々廻船問屋で、相談役は自ら「宇佐神宮・国東半島を世界遺産にする会」の会長を務め、永岡社長も少年時代を過ごした思い出の地とあって、この地への“おもい”は強い。
 銀行は昭和30年代の町並みを再現して年間30万人の観光客が訪れる「昭和の町」の中心部にある。永岡社長は「地域の歴史を伝える生き証人」として、『お金の展示館』を開設することにした。
 銀行は約88平方㍍の店舗に居宅や倉庫が併設されている。昭和初期の『モダン設計』で、吹き抜けの店舗には自然光があふれ、中央に鋼製模様欄干の出入り口、上壁には装飾円柱があり、当時の繁栄ぶりを物語る貴重な様式を備え、国の登録有形文化財に指定されている。
 収蔵品は永岡社長が自ら収集したものだが、趣旨に賛同する各地の人からの寄贈も多く、数万点を数えるそう。昭和期の古い硬貨や紙幣が中心で、旧満州国で発行された紙幣、戦時下にフィリピン、インドネシアで日本が発行した『軍票』など貴重なものばかり。金庫室では『1億円』の重さ(約10㌔、模擬札)も体験でき、現在のお金と両替えできる旧100円札なども展示、“昭和世代”はもちろん、学生や若い世代も多く、年間約5万人が入館する。
 入場は無料。古い建物なので多額の維持費も必要だが、すべて大分石油が負担している。永岡社長は「この地の文化財を大切に残し、歴史を伝えることは若い世代への生きた教材であり、地域の活性化にもつながる。社是に『社会に貢献することを喜びとします』と掲げており、メセナ活動(=企業の文化支援)として大切に続ける」と話している。