全国 北海道 特集

【2020 新年特集】 全国企画(北海道) 我が社・SSの金メダル

~地域にさん然と輝く取り組みを紹介~

 東京オリンピック・パラリンピックイヤーとなる2020年の全国企画を飾るのは、『我が社・SSの金メダル』。①水産王国稚内を支えてきた販売業者②地域貢献でソフトバレーボール大会を後援する販売業者③金メダル級のお米を販売する販売業者④コーティングの全国大会に山梨チャンピオンとして出場したSSマン⑤24年のパリ五輪を目指す中学1年生を支援する販売業者⑥全国制覇を果たした軟式野球部を持つ販売業者⑦洗車の技術と顧客管理で圧倒的な実績を上げるSSウーマン⑧シェルのリテーラー部門世界一となった販売業者⑨旧銀行の建物を維持・管理し、町おこしを支える販売業者―という、9つの地域にさん然と輝く金メダル級の取り組みを紹介する。

3隻の底引き網漁船の模型がかつての栄華を蘇えさせる瀬戸漁業の金銀銅メダル
3隻の底引き網漁船の模型がかつての栄華を蘇えさせる瀬戸漁業の金銀銅メダル

瀬戸漁業・水産王国=稚内を支える
従時の栄光、社長室に3隻の模型

 日本の最北端・稚内市で石油販売を長年続けてきた瀬戸漁業(菅原耕社長・JXTG系)。北海道の底引き網漁を率い、海上重油業者の草分けでもある創業者の瀬戸常蔵氏(1909~87年)が2つの水産会社を設けたのが50年。この年をを起点とすると、同社は今年で創立70周年を迎えることになる。
 「水産王国稚内の中心人物にふさわしい装いがあった」と評された瀬戸氏は、地元にとどまらず、北海道や全国の漁業関係組合や組織の長を歴任。日ソ漁業交渉代表顧問なども務めた。交友関係も広く、鳩山威一郎元外相はじめ多くの政治家や有名人が稚内の瀬戸氏のもとを訪れた。瀬戸漁業本社にはかつて隆盛を極めた底引き網漁での思い出の品や、有名人から贈られた色紙などが残されている。
 現在、同社は石油販売が専業だが、もちろんかつては社名の通り漁業がメインだった。77年に200海里漁業規制が施行されるまでは、「北転船」と呼ばれた底引き網漁船を何隻も所有していた。社長室には第15、17、18の3隻あった遠洋底引き網船の寿久丸が1隻、沖合底引き網船の第5寿久丸と最後の底引き網船の第28寿久丸が各1隻と、計3隻の精巧な模型が飾られている。同社にとっては、往時の栄光を思い出させる金、銀、銅の3種のメダルと同等の価値がある記念の品だ。
 同社は樺太沖の北緯50度まで漁が許されていたカニ漁船も持っていた。その乗組員がズワイガニで作った帆船の飾り物も貴重なものだ。帆はカニの「フンドシ」と呼ばれる部分でできており、その数は100パイ分以上にもなる。何十年も前に作られたものなのに、乾燥もせずにきれいに残っている。その訳は特殊な加工が施されているからだそうだ。
 有名人から贈られた色紙の1枚は瀬戸氏と親交が深かった横綱大鵬のもの。瀬戸氏が亡くなった後も、大鵬こと納谷幸喜氏は瀬戸家を度々訪れた。瀬戸氏の親戚に当たる3代目社長の菅原氏も「何度か会ったことがある」と言い、「義理堅い人だったよ」と懐かしむ。