中部・愛知 インタビュー

宇佐美三郎中部支部長新年メッセージ

業界と地域住民守るため行動重ねる

 令和になって初めて迎えた新年――。東京オリンピック・パラリンピックへの期待が高まる中、SS業界では依然として需要減、人手不足、低価格競争という厳しい環境が続いている。コストコなどの安売り攻勢の激しい東海・北陸地域でどのように経営を安定化させ、生き残りを図っていくか、全石連の宇佐美三郎中部支部長に聞いた。

新年の抱負を語る宇佐美支部長
新年の抱負を語る宇佐美支部長

 ――昨年を振り返ってまず感想を。
 JXTGに続き4月に出光昭和シェルが誕生した。コスモを加え三極化という元売再編によって業転玉の縮小が図られ、市場は安定するとみられていたが期待したほどではなく、いまだ不自然な安売りが横行している。令和の新時代だが、業界は消費増税の10月を中心に厳しさがいまなお続いている。暖冬による灯油不振も追い打ちをかけている。
 ――災害時対応や『満タン運動』については。
 各地で自然災害が相次ぐ中、台風の予想進路でない地域でもSSの店頭に給油待ちの車列が続いた。こうした光景はこれまではあまり見られなかったこと。〝最後の砦〟や全石連が取り組む『満タン運動』が徐々に消費者に浸透してきていることを実感した。『満タン運動』をさらに進めていくことは極めて大事だ。
 ――市場が好転しない大きな原因としてコストコの廉売を挙げる声が多いが。
 コストコは現在、全国13ヵ所のSSのうち、愛知・常滑、岐阜・羽島、富山・射水、石川・野々市と中部だけで4ヵ所もあり、いずれも地域最安価格で既存業者を苦しめている。各店舗とも年末年始でも一般よりガソリンで20円前後、灯油で10~15円も低い超激安。不当廉売に対しては、公正取引委員会に愛知34回、岐阜17回、富山14回、石川1回と訴え続けてきたが、SSの営業停止などでコストコの経営姿勢を改めさせる判断は残念ながらまだ得られていない。今秋には中部5ヵ所目のSSを名古屋市守山区にオープンさせようとしているので、先日、絶対反対の陳情書を名古屋市長にお願いしてきた。業界と地域住民を守るためには行動を重ねることが大事。今年も毅然と対応していく。
 ――支部組織としては。
 6県の理事・役員の意見交換、協力強化はもとより、全石連各部会メンバーの役員を兼ねている皆さんが中央での会議に積極的に出席して成果を上げている。今年も活発な支部活動に努めていきたい。
 ――東京五輪・パラリンピックを含め、業界にとって今年はどんな1年に。
 SS過疎地の岐阜・白川村で先ごろ、資源エネルギー庁による対策会議が開かれた。白川村は世界遺産などで有名だが、名の知られていない町村が平成の大合併で市に統合された。愛知の奥三河山地の集落の地名は豊田市。青山高原よりはるか奥地の山峡でも津市など、過疎地なのにその実態が見えにくい小さな集落が数知れずある。こうした地域で頑張っているSSの経営が成り立つよう、経営環境の健全化へ向け努力していきたい。