消防庁 過疎地等燃料供給インフラ検討会
SSを中心とした燃料供給インフラの維持に向け、保安規制緩和などを検討する総務省消防庁の「過疎地域等における燃料供給インフラの維持に向けた安全対策のあり方に関する検討会」は12月26日に開いた会合で、20日に省令改正を行い、今年4月1日施行する「セルフSSにおけるタブレット端末等による給油許可」と「SSにおける屋外での物品販売等」について、運用指針を検討するための実証実験を2月を目途に実施することを決めた。また今年度事業を締め括る報告書案の骨子を示し、来年度以降の保安規制緩和の検討課題と検討の進め方について議論した。
タブレット端末等の実験では、セルフ計量機が1~2基程度の小規模SSと4基以上の大規模SSの計2ヵ所で、3日間程度の日程で、タブレット端末の機能と給油許可の可能範囲を検証するほか、安全な使い方や留意点などを確認する。
物品販売等の実験では、2SSを選定し、屋外での販売業務などを実施して、安全要件等を検証し、必要な運用基準を定める。
報告書案の骨子では、過疎地等の地域特性に応じた燃料供給体制を維持するための4つの課題を抽出。①各SSにおける効率化や利便性向上に係る課題として、「営業時間外におけるスペース活用の検討」「セルフSSにおけるAI監視等による自動給油許可」「屋外給油取扱所のキャノピー制限(3分の1以下)の緩和」、②地上タンクの活用に係る課題の検討として、「地上タンクを設置するSSの活用方策」「簡易計量機の油種指定の柔軟化」「ローリーから簡易計量機への詰替技術」「簡易計量機の容量制限のあり方」、③集落が点在している中山間地等における巡回営業に係る課題として、「タンクローリー直結型計量機の活用方策」、④住民や自治体の参画によるSSの共同運営として、「危険物(灯油等)と日用品の巡回配送」「給油者を限定したSSにおける危険物の取り扱いや危険物取扱者のあり方」―を挙げた。来年度以降、それぞれの課題に対して、消防庁や資源エネルギー庁でモデル実証などを進め、リスク等の分析・評価を行い、必要な安全対策を検討していくことにしている。
販売業界を代表し同検討会に参画する全石連の佐藤義信副会長は、セルフSSにおけるタブレット端末等による給油許可、SS屋外での物販販売等の迅速な規制緩和を評価するとともに、「SS過疎地の問題は決して田舎だけの問題ではない。都会でもSS過疎地が増え、私の地元仙台市内でもSSがなくなっている。3・11以降、各地で地震や台風などの自然災害が増えており、社会インフラとしてどうSSを残していくか、引き続き議論していただきたい」と述べた。