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令和初の年末年始商戦は期待以上ならず

ガソリン例年並みから減販も

 最大9連休となった“令和初”の年末年始。ゴールデンウィークや夏休みなどで需要減に悩んだSSにとって、新元号の始まりにふさわしい需要の盛り上がりが期待された。ふたを開けてみると、寒冷地では暖冬による影響で、灯油や軽油の需要減とガソリンの伸び悩み、首都圏・関東地方は天候に恵まれたものの、全般的に需要は頭打ち、西日本では九州地方で行楽需要は確認されたものの、近畿・中四国地方は、天候不順が影響し、ガソリン、油外販売とも売り上げは伸びなかった。令和初の年末年始商戦は「例年並み」から「期待はずれ」がSSの本音のようだ。

交通量は分散化傾向だった(関越道・練馬IC付近)
交通量は分散化傾向だった(関越道・練馬IC付近)

 都内では、特に年末の都心部で洗車需要が好調、燃料油も堅調と伝える声が目立った。この年末年始は日並びが良く、27日が仕事納めとなった取引先も多く、26~27日に来店客が押し寄せたことに加え、30日午前中を中心に雨が降り、大晦日にかけて法人オーナー客や個人ユーザーが続々と駆け込む様子も見られた。交通量が分散化傾向だったため、「需要も例年より平準化していた」という見方もあった。
 また、市街地のSSからは「燃料はやや悪く、洗車は横ばいだったが、整備などのカーケアが伸びた。長期連休の影響もあると思う」との指摘も。一方、連続仕切り値上げを受け、年末に転嫁を進めた量販SSも少なくなかった。
 一方、関東各地では年末30日が雨天だったため、31日に洗車客が集中したようだ。各地のSSでは長い待機列ができ、コイン洗車場なども多くの洗車客で賑わっていた。ガソリン販売量は「前年より落ちている。10月の消費増税以降、良くない」(千葉)という声が聞かれるなど順風満帆ではなかったようだ。東名川崎IC周辺のセルフSSは洗車が好調だった。「ここ数年の年末の傾向だと洗車はそれほど混まなかったが、30日が雨だったためか、31日は入口まで車の列ができるほど混み、ひと昔前のような光景だった」と驚いていた。
 北関東のSSスタッフは「前回は年末の天候不順が影響し、洗車の稼働率が思ったほど伸びなかった。今回も心配だったが、ふたを開けたらガソリン・油外収益ともに平年並みの売れ行きでほっとした」と胸をなでおろす。大手・中小を問わず元旦を「休業日」にしたSSが目立った一方で、営業しているSSに給油客が集中し、給油待ちの車列が発生しているSSも散見された。
 中部地方は期間を通じてほぼ好天に恵まれ帰省や行楽、買い物など外出車両が多く安売り競争も比較的手控えられたことから、前年に比べ幹線道路沿いを中心にガソリンや洗車で売り上げを伸ばすSSが目立った。東名高速名古屋IC近くのセルフはクリスマス前に148円に改定した現金価格を正月以降も続けた。東海3県では「暖冬で灯油やタイヤの売り上げが厳しく、ガソリンや洗車は少し伸びたが全体では前年並み」と振り返るSSも少なくなかった。
 北陸地方は雨模様の天気が続き、ガソリン需要も伸び悩んだ。金沢市内のSSは「9連休だったのに連日雨ばかり。お客さんも少なく昨年同様に期待外れの年末年始だった」と顔を曇らせた。
 近畿地方では年末商戦は例年並みの需要と見込まれている。天候に大きく左右され、思いのほか集客が伸び悩んだとうのが業者の声。フルSSは27日の仕事納めの日にあわせて前日の雨天もあり、法人客を中心に洗車の売り上げは伸びた。また、燃料油も昼前後を中心に需要増となったSSも見受けられた。
 期間中の燃料油販売は、フル、セルフSSとも天候不順から、客足が遠のき、閑古鳥に近い店もあった。2度の価格是正が割高感が出たのか年末にもかかわらず、数量指定の客も多かった。また混雑時と閑散時の差が大きく「前年並み実績確保がやっと」と嘆くマネージャーも多かった。