論説

「SDGs」SSへの挑戦

 地球環境の改善に貢献するSS、持続可能な世界を実現する17の目標=SDGsを体現するSS。SSも取り組むべき最優先キーワードとなる。
 強烈な勢力を維持したまま首都圏に上陸した台風15号、19号など、全国民の肌感覚で気候変動リスクが実感された2019年。地球温暖化の原因とされる温室効果ガス=CO2を削減する企業を優遇するESG(=環境・社会・企業統治)投資が、世界金融の中枢にドンと座る構図が鮮明になった年でもあった。
 財務的な評価ではなく、その資金が使われた事業が倫理的に確かのものなのか、環境破壊の懸念がなく地域社会に貢献しているか。その路線を中長期的に進もうとする自治体や企業は、自らが消費するエネルギーにもメスを入れ、再生可能エネルギー100%化を目指す「RE100」宣言の裾野が広がっている。生活必需品という側面はあっても、化石燃料の販売を担うSS業に対しても、今後は風当たりが強くなる可能性がある。
 多くのSSが人手不足の課題を抱えている。一方で残業時間の上限厳守、同一労働同一賃金などの働き方改革への「待ったなしの対応」が迫られている。では、スタッフの残業時間を削減しつつ営業時間の短縮や休業日の増加に踏み切れば、スタッフが意欲的に働き続ける職場環境が実現できるのだろうか。時給や賃金を割高にすれば、人手は充足されるのだろうか。答えはおそらくノーであろう。
 多くのSSが燃料油数量について、悲観的な近未来を描いている。エネ庁が描く年率2・2%減というガソリン内需見通しを、はるかに超えた販売減に直面しているSSも多い。減らさない努力はするべきだが、安値を訴求した数量拡大は、もはやナンセンスだ。
 冒頭の表現を微修正し、「地域社会」環境の改善に貢献するSS、持続可能な「地域社会」を実現するSS、としてみよう。
 EV普及に積極果敢に取り組むSS。近隣の山林の植樹に取り組むSS。遊休地や屋根に太陽光パネルを張り巡らすSS。セールスルームを地域の社交場として開放するSS。米屋や酒屋、電気屋、理美容室が日替わりで登場するSS。発電も蓄電も備えて有事対応力が抜群なSS。要は、お客様やご近所さんに喜ばれる、好ましく思われるSSを目指す。結果として、人手不足は解消し、燃料油に変わる次の芽が育つだろう。それがSDGs=SSとなる。