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携行缶詰替販売時の確認作業

不安と負担抱えて対応 義務化で店頭に戸惑い
携行缶客に給油し用途など確認するSSスタッフ
携行缶客に給油し用途など確認するSSスタッフ

 昨年7月に起こった「京アニ事件」をきっかけに、2月1日からSSでガソリンを携行缶などの容器に詰め替えた場合は、客の本人確認、使用目的の確認、販売記録の作成が義務付けられることとなった。すでに九州では大半のSSで確認作業を実施しているが、確認のやり方などについては戸惑いも見られる。
 改正の主な内容は、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど公的機関が発行する写真付きの証明書の提示を求め、本人確認を行う。ただし、顧客と継続的な取引がありSS側が氏名や住所を把握している場合などは書類の提示を省略できる。
 また、使用目的の確認は「農業機械器具用」「発電機用」というように使用目的を聞かなければならない。さらに販売記録は、販売日や顧客の氏名、住所および本人確認の方法、使用目的、販売数量を記入し、1年を目安に保存する。客が拒否して確認できなかった場合は法令違反となり、客の言動などに不審な点があれば警察署へ通報するよう求めている。
 すでに九州各地のSSでは先行して確認作業を実施している。SSで携行缶給油に来た客にスタッフが丁寧に説明したうえで各項目について尋ねるとほとんどの客はきちんと答え、スタッフは記録簿に記入している。中には客の了解を受けたうえで免許証をコピーしているSSもある。多くの客は「あの事件のためにスタッフの皆さんも面倒ですね」と理解を示している。
 しかし、「客が確認を嫌がったり、面倒くさがったりする場合があるので説得するのに時間がかかる」、また「農家の方が軽トラでやって来てセルフで燃料を入れて、荷台に積んだ携行缶にも給油することもある」と不安を隠さないSSもある。
 熊本県石商・人吉上球磨支部(辛島紘一支部長)のSSはトラブルを防ぐために、地元警察署と連携し、県警名で「テロ類似行為防止のため購入者の氏名・連絡先と使用目的を確認し、記録するようにお願いしています」と呼びかけるポスターを店頭に貼り出して協力を求め、効果を上げている。