全国 元売 インタビュー

JXTGエネルギー・大田勝幸社長インタビュー 新社名『ENEOS』で飛躍

付加価値提供するSSへ

 “ENEOS”ブランド統一から半年。さらに半年後の今年6月には、社名も『ENEOS』へ。JXTG統合で成果を得た今次の中期経営計画に続き、4月から始まる第2次中計、そして2040年長期ビジョンで想定した「石油内需半減」を視野に、石油事業と新規事業の並立・確立を統率する大田勝幸社長に聞いた。

 |安定供給と災害への備え
 昨年はホルムズ海峡におけるタンカーやサウジアラビアの石油施設に対する攻撃、国内では台風・豪雨などの自然災害が相次ぎ、石油の重要性と安定供給の責任を再確認した。また、社会的にも再認識いただけたのではないか。これからもサプライチェーンの役割をしっかりと果たしていく。
 当社は以前から系列SSへの自家発電機設置を進めてきたが、大事なのは停電時にきちんと稼働させられるかどうか。災害対応は他元売、役所、自治体とも協力しながら、地震以外での被災も視野に日ごろから準備し、最大のSS網を有効活用して社会に貢献したい。
 |経営環境と展望
 石油事業の実質的な収益環境は安定して推移しているが、需要は確実に減るので油断はできない。JXTG長期ビジョンでは、40年に石油内需の半減を想定し、石油事業を磨き上げながら、新たな分野と両立させていく方針を掲げている。製油所の競争力強化では、ケミカル化を進める必要がある。コンビナート連携でさらに踏み込み、一体となって海外勢に対抗する方法もあり得る。人手不足が深刻なので、定期修理時の提携も考えられる。
 |系列支援の具体策
 エネルギー需要は電力の比重がさらに高まる一方、より低炭素なエネルギーが求められる。再生可能エネルギー分野では、洋上風力が有望とみており、他社に後れを取らないよう、当社も積極的にやっていきたい。先行している水素は、2~3年以内に大規模実証できるかどうかが勝負だ。大量に製造し、貯めて、運ぶのは得意分野。ただ、石油内需が急減する訳ではない。「生活プラットフォーム」として多様なニーズに応え、新たな付加価値をSSが提供していくことがより重要になる。最大の強みは全国約1万3千ヵ所のSS網で、地域に密着しながら長く経営を続けてきた特約店・販売店の皆様がパートナーであることだ。
 EneJetやEneKeyなどの施策はセルフSS寄りだが、採用プログラムや統一カードはフルSSと共通している。ブランド統一によって様々な施策が展開しやすくなったので、地域や顧客ニーズに合った支援メニューを揃え、選びやすくしていく。
 |社名変更の狙いは
 上場会社はENEOSホールディングスだが、実質的には1つの会社として運営し、さらなる効率化を図るとともに意思決定のスピードを早める。『JXTG』は両社の統合・融和のメッセージとして意味があったが、浸透した『ENEOS』ブランドをSSにとどまらず他事業にも展開していく戦略で、より価値を高めていく。英語表記もずっと続けてきた「Nippon Oil」からENEOSに揃えた。
 |特約店・販売店へのメッセージを
 当社グループ商品の販売にご尽力いただき、特に昨年はブランド統一や新施策の導入にご理解・ご協力を得たこと、SSを運営している皆さんに育てていただいたブランドを社名として使わせていただくことに、改めて感謝申し上げる。“ENEOS”を冠にしながら、一緒に磨いていきたい。