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石連月岡会長会見 精販で供給責務全う

 石油連盟の月岡隆会長は1月20日の定例記者会見で、石油業界が今後取り組むべき重要課題について、①安定供給確保②地球温暖化対策③経営基盤強化―の3点を挙げ、「消費者に選ばれる石油であり続けるために、これらの課題に対し積極的に取り組んでいく」と述べた。
 この中で、安定供給確保について、「全石連の森会長とは、消費者の皆さんに石油製品の安定供給をきちんと行っていくことが我々石油業界の使命であるという認識で一致しており、災害時での対応ではいち早い復旧に向けて精販がともに協力して取り組んでいる。(安定供給確保において)精販はクルマの両輪である」と訴えた。
 また、政府に対しても「資源外交の強化に向けて、安倍首相が新年早々中東3ヵ国を訪問した。情報収集という形であれ、中東への自衛隊派遣も決定していただいた。これらの取り組みには大変に感謝している」と述べた。
 一方、今後の課題として、「石油備蓄についてもより機動性を確保しながら、不測の事態に備えていくことも重要である。日本がこれまで取り組んできた備蓄政策を、今後、需要が伸びていくアジアに広めていくことが重要である」と強調。さらに「内需が減少していく中で、国内の精製設備のあり様を考えていかなければならない。エネルギー供給構造高度化法の次の対応を議論していかなければならない時期に来ている」と、ポスト高度化法の検討の必要性を指摘した。

 石油連盟 月岡隆会長 記者会見要旨(1月20日)
 ▽石油業界の重要課題について
 ・新年のあいさつでも申し上げたが、石油業界の重要課題については3点を挙げさせていただいた。①石油の安定供給確保②地球温暖化対策③経営基盤強化である。
 ・消費者に選ばれる石油であり続けるためにこれらの課題に対し、積極的に取り組んでいく。
 ▽中東情勢について
 ・年明け早々、米国によるイラン革命防衛隊の司令官殺害と、イランによるイラク国内の米軍基地が攻撃された。このような中で、安倍首相はサウジアラビア、アラブ首長国連邦、オマーンの中東3ヵ国を訪問した。中東地域の緊張緩和と情勢の安定化に向けた取り組みとして、各国と緊密に連携していくことを確認した。
 ・自衛隊の中東派遣を含め、資源確保に資する取り組みとして評価したい。自衛隊の中東派遣についてはいろいろな意見があるが、我々石油業界として、歓迎・評価しているところだ。
 ・これからも政府との連携を密にして、石油の安定供給に万全を期す所存。
 ▽船舶用燃料の硫黄分規制への対応について
 ・規制適合油が昨年末から問題なく供給されている。引き続き、安定供給に努めていく。
 ▽原油市況見通しについて
 ・前回定例記者会見を行った12月20日のWTI原油先物価格は1バレル60.44㌦だった。その後、年末年始を挟み、年明け1月2日に米軍がイラクのバグダッドでイラン革命防衛隊の司令官を殺害したとの報道が伝わると、1月3日のニューヨーク市場で、原油価格は一時64.09㌦まで上昇した。これは約8ヵ月ぶりの高値となる。
 ・しかし、1月8日のイランによるイラクの米軍基地への攻撃に対して、米国がさらなる経済制裁強化で対応するとのトランプ大統領の声明を受けて、米国とイランとの衝突は回避されるとの思惑から、原油市場は一転、大幅安となり、1月8日のWTI価格は前日比3.09㌦安の59.61㌦まで値を上げた。
 ・その後市場は57㌦台まで値を下げたが、1月15日の米中貿易交渉の第一段階の合意、翌16日の米上院で北米自由貿易協定に代わる新協定を可決したことで、エネルギー需要の伸びを期待する楽観論が広がったことに加え、1月20日午前にイラクにおける雇用問題による油田生産の停止、リビアにおける反政府武装勢力による同国最大に30万BDのシャララ油田のパイプライン閉鎖による供給懸念に関する報道があり、時間外取引で59㌦台まで値を戻している。
 ・期先原油市況は米国の製品需給や中東島の地政学リスクをにらみながら、60㌦を挟んだ相場展開が予想される。
 ▽質疑応答
 Q 原油価格情勢について。
 ・米国とイランの軍事衝突が避けられた。トランプ大統領の声明が大きかったのではないか。ただ、経済制裁を強化するということであるから、引き続き、長期にわたって緊張感が続いていくものとみられる。
 ・需給は緩んでおり、そのためにOPECは減産している。減産しなければ供給過剰の状態になる。
 Q 先週までの石油連盟と全石連の新年賀詞交歓会で、両会長からのご発言は精販の連携というものがかなり意識された印象だったが。
 ・森会長が全石連会長に就任され、私が石連会長に就任されてから、我々は消費者の皆さんに、石油製品の安定供給をきちんと行っていく使命があるということで一致しており、それに向けて、精販が協力して、災害時などでの対応でいち早い復旧に向けてともに取り組んできている。
 ・これ以前は、供給過剰に伴う過当競争があったり、自民党石油流通問題議員連盟の先生方からも業転玉に端を発する一部の安値に対して、これが流通業界全体を疲弊させて、SS数が急減してきたという流れがベースにあった。
 ・こうした流通実態は元売の再編を経て、適正な需給環境が進み、新たな課題として、災害対応や安定供給確保といった課題に対して、精販が一致して取り組んでいかなければならないというように、精製と販売のベクトルがぴったり一致したのではないか。本来の姿に戻ったのではないかと考えている。
 ・精販は車の両輪であるということは以前から申し上げてきたが、精販がお互いににらみ合って、元売が悪い、販売業界が悪いと言っているのはとても健全な業界ではないと思う。互いの理解が深まってきているのではないか。
 ・これまでは元売各社のビジネスモデルがかなりに違っていたが、これが3グループ化され、同じ使命感を持って、元売としての供給責任を果たしていくという時代に入ってきたのだろう。
 Q 船舶燃料の硫黄分規制について。
 ・我々石油業界としては、規制対応に伴うコストアップについては、きちんと転嫁していくことが重要であり、広く薄く消費者の方々にご負担していただかなければならないと考えている。
 Q 短期間で2回の経済産業大臣との懇談と中東政策について。
 ・背景には資源の確保、供給の安定化ということがある。資源の確保に懸念が広がる中で、経済産業省の石油連盟に対する期待感と、その役割の発揮ということを強く認識していただいているのではないか。
 ・昨年の相次ぐ自然災害、中東での地政学リスクの顕在化、国も石油業界と緊密に連携していかなければならないというようになってきているのではないか。
 ・資源エネルギー庁は新・国際資源戦略を取りまとめ中だが、こうした場を通じても我々の意見が反映されるようになってきている。
 ・我々が申しあげてきた資源外交の強化という点では、安倍首相が新年早々中東3ヵ国を訪問した。また、情報収集という形であれ、中東への自衛隊派遣も決定していただいた。これらの取り組みには大変に感謝している。
 ・一方で、もしもの事態には、石油備蓄についてもより機動性を確保しながら、不測の事態に備えていくことも重要である。さらに、日本がこれまで取り組んできた備蓄政策を、今後さらに需要が伸びていくアジアに広めていくことが重要であろう。
 ・国内の需要がさらに減少していく中で、国内の精製設備のあり様を考えていかなければならない。エネルギー供給構造高度化法の次の対応を議論していかなければならない時期に来ていると考えている。
 ・また、梶山大臣の従前からの石油業界に対するご理解というものも、石油業界にとっては非常に大きいと思う。
 ・いざという時の備蓄の優位性を確保していくとともに、掛かっているコストをどのように下げていくのかという努力も行っていかなければならないだろう。
 Q 年末年始商戦について。
 ・ある程度許容できる範囲で価格が徐々に上がってきた。今後原油が下がってくれば当然下がっていくだろう。
 ・最近、サウジアラビアのアラビアン・ライトの調整金が高騰している。ガソリンなどを上げざるを得ない状況にある。
 Q 灯油需要について。
 ・需要は良くない。前年の9割を割っているのではないか。厳冬による供給不安がないことは良いが。
 ・除雪車用の軽油の需要が減少しているほか、ビニールハウス用のA重油も暖冬で需要が伸びていない。