中部・愛知 行政・政治 インタビュー

松浦エネ庁石油流通課長講演要旨㊦

災害時供給強靱化推進へ
役員会で講演する松浦課長(中央正面の左から3人目)
役員会で講演する松浦課長(中央正面の左から3人目)

 SSの人手不足問題も重要課題として捉えている。まず1SSあたりの従業員数を平均でみると店主1人弱、正社員3人弱、派遣・契約社員2人弱の合計5・6人。0・6人は1人必要と数えられるので実際には6人の人手が求められている。この数字は過去6年間、ほとんど変わっていない。そうした人手が確保されているかといえば、約8割の事業者が「確保できていない」、うち4割が「経営に深刻な影響がある、懸念している」と答えており、「人手は確保できている」はわずか2割にとどまっている。人手不足の深刻度は都市部のSSの方がやや大きいが、政令指定都市も町村部も大差のないことがエネ庁調査でわかった。さらにSS過疎地等実態調査から「募集しても従業員が確保できない」が7割強、「採用したがやめてしまう」という短期離職が2割強に達し、離職率の高さも課題であろうと思われる。
 災害時の燃料供給の強靭化に向けては、予算の成立が前提であるが、自家発電機を配備した住民拠点SS全国8千ヵ所の整備と緊急配送用ローリー6700台の配備を来年度までに実施することとしている。以上の現状認識のもと、エネ庁・新しい石油産業像に関する研究会報告(主要メッセージ)で以下の提言を行った。
 『SS過疎地対策』については、①燃料需要が今後急速に減少していく過疎地では、SSは生活サービスの拠点として機能の多角化を図り、地域住民にとって身近なサービスを提供する「コミュニティ・インフラ」としての機能をより一層強化させていくことが重要になってくる。燃料に併せて食品・生活用品の配送、高齢者見守り・外出支援、除雪支援などの機能を担っていくことが考えられるだろう②売上減の中で大事なのはコストカット。SSの維持や再投資に必要なコストを賄うため、比較的安価な地上タンク、ポータブルや可搬式計量機の活用。灯油や軽油の共同配送による効率化も重要となってくる。
 『人手不足対策』については、①AIを用いた画像認識技術を活用しセルフSSでの給油許可省力化の実証事業を行っているほか、こうした取り組みを踏まえた新たなサービスの創出も検討していただきたい②高齢者や女性を含めた人材確保のため、働き方改革など労務環境の改善を図っていただきたい③消防法等保安規制の見直しも必要だが、SSの基本は安全第一。その中で油外も含め比較的広い敷地の有効利用を考えていくことが大事になってくると考えている。