論説

住民拠点SSの倍増化へ始動

 1月17日、全石連・石油協会の2020年賀詞交歓会が開催され、全国の石油組合執行部、元売首脳陣、与党国会議員、行政幹部ら総勢400人が参集。平時・災害時を問わず燃料油の安定供給体制をさらに強化することを確認した。奇しくも17日は25年前に阪神淡路大震災が起きた日である。神戸の惨状を忘れない一方で、あの大震災でSSの堅牢さが地域社会に認識された。現在、ぜんせきWebのトップ画面(非会員も閲覧可能)に延焼を防ぎ残った当時の日石系SSの写真を掲載中なので見てほしい。
 SSの災害時対応は11年に発生した東日本大震災によってさらに増強された。行政などの緊急車両に優先的に燃料供給を行う中核SSなどの整備が始まり、その数は1629ヵ所(19年4月現在)まで拡大した。加えて、16年には熊本地震が発生。それを機に災害時における地域住民の燃料供給の拠り所として、住民拠点SSの整備がスタートした。住民拠点SSは発災直後に起こる給油待ち車両の大行列などの混乱に対処する役割がある。スタートから3年をかけて20年3月末までに7千ヵ所まで整備が完了する。
 昨夏には大型台風が度々襲来し千葉県内では前代未聞の長期停電が起こった。そうした事態も受け、昨年12月末に閣議決定された石油流通関連の予算案は19年度補正・20年度当初を合わせ276.7億円と大規模なものとなった。最大の柱は住民拠点SSなど災害対応能力の強化であり、この予算で21年3月末までに住民拠点SSの倍増化が求められる。具体的には見通しのついた7千ヵ所に、8千ヵ所を純増させ、トータル1万5千ヵ所までの拡大が目標数だ。
 資源エネルギー庁まとめの全国登録SS(19年3月末)は3万70ヵ所、これを分母とすると住民拠点化率は50%。また、組合員SSの大半である系列SSの2万3千9ヵ所(同)が分母だと住民拠点化率は65%を占める。当然、系列SSの中には元売販社のSSも含まれるし、1万ヵ所程度は販売店のSSとみられる。
 目標値の1万5千ヵ所達成にはエネ庁、全石連・石油組合に加え、元売やエネルギー商社、さらには全農などまでが一致団結して取り組むことが必要になりそうだ。国土強靭化は我が国の方針である。1万5千ヵ所は相当難しいハードルだが、皆で力を合わせ成果を上げたい。