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入札概況・10―12月 前四半期比2~5円程度上げ

原油高騰背景に落札価格は上昇基調

 官報掲載による2019年10月から12月までの石油製品入札結果では、前四半期に比べ上昇傾向がみられる。前四半期も上昇傾向がみられたことから、前年同期比で重油は10%程度値上がりした。落札者は前四半期と同じ業者が多く、地場業者の健闘も目立つ。10月から年末にかけては米中貿易摩擦やイランを起因とした中東情勢不安など、政治的要因で原油価格が乱高下したことを背景に、全体的に落札価格は上昇基調を続けている。

 今期第3四半期(19年10-12月)までが記載された官報による石油製品の入札結果は、確実に上昇傾向を示した。前四半期が中東情勢不安による原油高騰で大幅に落札価格が上方修正されたのに続き、依然として原油市場の不安定感を背景に、落札価格は上昇基調が続いた。
 油種、地域、ロットなどの条件の違いはあるものの、今回は地場業者や、大手販売業者の落札が多く、広域業者や元売子会社、商社の落札は目立たなくなっている。
 また、元売の販売政策が量的インセンティブを改める傾向がさらに強まり、系列老舗の地場業者の落札が前四半期同様に続き続く傾向も顕著になっている。
 前四半期の落札は大幅に値上がりしたが、今回の落札結果は平均的にどの油種も前四半期と比べ1リットルあたり2~5円程度の値上がりとなった。
 入札に影響する原油価格は、今年に入り米中関係の改善があるものの、中東問題がイランの情勢不安により複雑化し、先行きへの不透明感は増している。ただ、市場全般には安定基調も現れており、今年度最終四半期に向け入札も安定していくとの期待感もあるのは確か。入札に強い地場大手業者は「値上がり傾向から一転して、値下がりしていくことも予想される」と話している。
 油種別では灯油は前四半期が1リットルあたり60円程度で落札されていたが、今四半期は65円前後となり5円ほど上方修正された。軽油は1リットルあたり80円台後半から100円台で落札され、やはり5円程度前四半期を上回っている。重油は前四半期に比べ5円程度は値上がりした落札価格が多かった。
 また、落札価格はこれまで競争の中で、極端に安いものも散見されていたが、今回は原油価格に見合った価格の落札がほとんどで、入札参加業者にとって原油動向が大きな指針となっていることを実証する形となった。