全国 元売 インタビュー

☆出光、木藤社長インタビュー 「ともに業態開発に邁進」

地域になくてはならないSS

出光興産の木藤俊一社長は本紙などとのインタビューで、統合新社の課題や来年度の販売政策などについて語った。この中で、来年度中に本社機能を千代田区大手町のビルに一本化することを明らかにしたほか、出光と昭和シェルのPOSシステムを統合し、お客様目線に立った施策の実現を早急に図っていく考えを示した。また、「SSをこれ以上減らしてはならない」と強調し、「付加価値を高め、地域になくてはならない店づくりを進めていく」方針を示した。

 統合という方針を示してから3年を経過して、統合が実現したわけだが、その間、業務提携を進めてきたことや社員間の勉強会・懇親の場を設けることで、統合後はスムーズにスタートを切ることができた。2019年度はのシナジー効果は300億円、21年度には当初計画通り600億円に積み上がるとみている。さらに本社機能・システム・人事制度の一本化をいち早く行っていくことで、600億円を上回るシナジー効果につながると確信している。
 Q 系列販売店・特約店施策について。
 たび重なる自然災害や特に地方ほどSSが減ってしまっている現状を踏まえると、SSは国民一人ひとりの重要な社会インフラであり、その使命を果たしていくには、地方のSSを残していくための施策を実行していく。全国一律の施策は今年であり、その地域にあったきめ細かな施策・業態の提案を行っていく。ジョブネットやドライブコンサルタントなどインターネットを通じた施策を実施しているが、これを昭シェル系例にも提案していくほか、あるいは出光・昭シェルの法人・個人カード・ポイントシステムの相互乗り入れを早急に進めていきたい。また、出光の顧客車両管理システム、昭シェルのシェルコネクトといったシステムの相互活用も行っていく。さらに一歩踏み込んだ顧客サービスが両ブランドのSSで展開できるようにしていきたい。
 Q ブランド統一の方向性について。
 JXTGさんが約2年かけて昨年6月末にENEOSに一本化された。ざっくり言うと2ヵ所の1ヵ所がENEOSということになった。お客様の利便性という面でかなり先行している。したがって我々もネットワークを早く統一して、お客様にとって利用しやすいネットワークにしていきたい。そのためにはPOSシステム統合の準備を進めている。ブランド統一の時期やブランドをどうするかについては外部機関の力も借りながら、様々な角度から検討中だ。
 Q フルサービスSSの視点に立った販売施策について。
 元売の施策が、セルフだけに偏重しているということはなくなってきているのではないか。ある程度セルフも普及してきた。地域によっては、高齢者が多く、セルフの利用されない顧客が多い地域もある。SSそれぞれの立地条件があるので、その立地に対応したサービスを提供するSSが生き残っていくと思う。決してセルフありきではないが、給油はセルフで、カーケアについては人手をかけて行っているカーケアセルフなども増えており、セルフ・フルを使い分けながらSSの立地に応じた業態を提案していきたい。また、販売店・特約店の方々の声を聞きながら、一緒になって業態開発を進めていきたい。