中部・愛知
市場
2020年1月30日
減販、PB攻勢で危機バネ
県内市場に採算意識
競争の激しい地域とされていた愛知だが、昨年末から卸価格の上昇に素早く反応。今年に入ってからもコスト上昇分を転嫁する意欲は高く、セルフでも現金150円以上の店頭掲示が目立ち、中部地区では三重や石川を上回る水準になっている。ただ、こうした適正利益確保に意欲的な店舗が少なくない一方、県内各地では相変わらず激安競争も見られ、一般系列店の間からは、全県的な価格競争の再燃を不安視する声も聞かれる。
愛知は北陸を含めた中部6県で最も競争の激しい県だった。特に愛知石商(宇佐美三郎理事長)が公取委に不当廉売と訴え続けている常滑のコストコとPBバロンパークの激安競争は常に全国最安値クラスであり、知多や西三河地域を巻き込んだ低価格競争に拍車をかけてきた。
こうした環境下に加え、昨秋の消費増税で落ち込んだ販売量がなかなか回復しないことから、販売業者の間には経営に対する危機感が高まり、採算姿勢へ転換するSSが増加。中東の情勢悪化などに伴う仕切価格上昇の動きが出るたびに素早くこれに反応。一部で週末値引きなどが見られたものの、会員価格で150円台のSSも出現するなど1月後半においてもこの傾向に変化は見られない。
一宮市など尾張西部では、144~7円の木曽川対岸の岐阜側と逆転。セルフの多い東名高速・名古屋IC周辺でも店頭表示147円、現金151~3円が大半となるなど、採算意欲は県内に広がってきている。
一宮市内のSS業者は「仕切価格の動きを早く捉え、販売価格に転嫁させるという当然のことがようやくできつつある。このスタイルを維持して、従業員の待遇改善など懸案の問題に取り組んでいきたい」と経営改善への意欲を語る。