栃木石商・協 村上芳弘理事長(全石連理事・関東副支部長)
消費増税の実施、相次ぐ自然災害、働き方改革の対応――。昨年は激動の1年間となった。東京五輪も控え、今年こそは良い年にと願うSSも多い。小規模事業者のフィールドに立ち続けながら、全石連理事・関東支部副支部長などを務める、栃木石商・協の村上芳弘理事長に新年の抱負を聞いた。
――販売店の現状について。
SS業界は相変わらず過当競争だ。ガソリンの需要が1割も減っているのに、減販に焦って「安くてもいいから量を売れ」とハッパをかける上司。“最後の砦”と言われて久しいが、一部のSSがひと昔前の量販志向をいまだに続けている。
このままの状況が続くと、過疎地も含めて地場SSは加速度的に減少する。例え「自分のSSは自分で守る」という信念のもと採算経営に徹しても、阻害要因が多い。
――今年の重点活動項目は。
『満タン&灯油プラス1缶運動』のさらなる展開、発券店値付けカードの給油代行手数料の値上げ、マージン20%の確保。この3つを軸に、経営部会や満タン運動推進委員会の副部会長・副委員長として積極的に提言を続ける。
また「SSの収益改善のあり方」を足元から見直す。販売店にとって「再投資」とは、修繕費なども含めた身近な設備投資のこと。小規模事業者が少しでも収益改善につながる方法を模索する。
――喫緊の課題について。
石油業界全体としての環境を変えるべき。人件費はこれからも上がり続ける。営業時間の短縮や定休日の設定など、地場業者は限られた労働力でSSを運営している。
満足のいく給料を出し、休みも取らせ、オンとオフのメリハリをつけさせる。
SSは「夏は暑く、冬は寒い」。過酷な環境下で働く従業員のことを思ったら、是が非でも改善しなければならない。
――最後に一言。
10年後、20年後のSS像を考えてほしい。全石連が総決起大会で「これ以上SSを減らすな」と言い続けているが、残念ながら小規模SSはどんどん減少している。
災害対応のための『満タン運動』の推進や、住民拠点SS1万5千ヵ所の整備など、取り組むべき課題は多いが、スーパーディーラーも小規模SSも全力で力を合わせ、一枚岩になって“最後の砦”を守り続けよう。